ねらいをさだめて…オリャ!

休業する「ペン字ときどき工作あそび教室」最終日は、ペン字の後に『紙ひこうき飛ばし大会』をしました。

「5枚丁寧に書けた人から紙ひこうき折るよー」と言うと、これまでにない静寂の中、黙々と字を書き書き。(毎回こうであってほしかったが…)
そして、みんなでyoutube先生に助けてもらいながら「よく飛ぶ紙ひこうき」を折って、いざ勝負!
紙コップにマイナスとプラスの点数を書いて、裏返して机に置き、当たって落ちた分を計算します。点数の多い順にちょっとだけ中身が違うお菓子の贈呈品がもらえます。
紙コップは投げる側からは見えず、狙い落としてから点数がわかるので、毎回当たるたびに大騒ぎ。これは可愛らしいゲスト(ごきょうだいの年中さん)に紙コップ係をお願いしたので、点数の位置は毎回彼次第なのです。
なかなか当たらず0点続きの子もいれば、たくさん当てるけどマイナス点になってしまう子やラッキーでいきなり大得点になる子。10回投げて差が出たので、最後にもっと近づけてプラス点だけの紙コップだけ残し、落ちた点数×2をして加算しました。大逆転はならずだったけれど、これによって順番の入れ替わりもあり、大盛り上がりでした。

最後まで苦戦した子、思わず上位になった子、たくさん当てたのにプラス点に恵まれず順位が振るわなかった子。
見ていて思ったのは、賞品のお菓子より順位にこだわっていることでした。悔しかったり、嬉しかったり、素直に喜べなかったり…
人間は本能的に「上を目指したい」と努力をする動物だそうです。同じルールで競うことで、公平であるゆえに敗けた時の行き場のない感情は、込み上げて溢れます。人によっては、相手を罵ることも一つの解消方法かもしれないけれど、それでは実は何も向上しないのです。
敗けた時は、
今回はアンラッキーだった、
相手(みんな)の方がラッキーだった、上手だった、強かった、
と思えたら「練習しよう」に切り替えて次に繋げられます。
勝った人は、敗けた人の気持ちを尊重できるか、勝てたことに甘んじない態度が必要です。

この教室に来てくれた生徒さんたちは、勝っても敗けても自分以外の誰かを蔑んだりする子が一人もいませんでした。一人で喜び、一人で悔し涙を流しました。まだ幼さが残る歳ではあるけれど、心の軸がしっかりしています。

時に、ペン字(書写)とは、自分と対峙する所作です。誰かと競うものではありません。そして、誰かと競うことで芽生える感情と無縁のようですが、実は勝負しているのです。
「自分」と。

紙ひこうき飛ばし大会は、遊びでしたが、一喜一憂する姿を見るとみんなに「向上したい」気持ちがあることが気がつきます。ペン字という一見勝負することではない世界に半年以上通った子ども達、何でもいいから好きなことが見つかったら自分と闘って、勝敗がついた時がグッと成長するチャンスです。陰ながら応援しています。どうかまた会える日までお元気でね。

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